督促状とは?無視したら起こること、届いた際の対応策や催告書との違いを解説
- 更新日:2024年11月11日
借金の返済が滞っていると、金融機関や貸金業者などの債権者から返済を促す督促状が届くことがあります。
督促状が届いているのに無視し続けていると、最終的には財産を差し押さえられてしまうことにもなりかねません。
督促状に記載されているとおりの返済ができない場合、弁護士への相談などを検討しましょう。
本記事では、督促状の意味や、似たような書類との違い、督促状を無視した場合に起こることのほか、督促状が届いた場合の対応策、督促状どおりの返済ができない場合の対処法について詳しく解説します。
督促状が届いてお困りの場合は、ぜひ参考にしてください。
督促状とは、返済が滞った場合に支払いを要求する書面
督促状とは、借金や家賃などの債務を期日までに支払えなかった場合に、債権者が債務者に送る、支払いを要求する書面のことです。単なる督促状には支払いを法的に強制する効力などはなく、すぐに差押えが起こるわけではありません。
しかし、督促状を無視し続けると、連帯保証人への連絡や事故情報が登録される(いわゆるブラックリストに載る)こともあり、最悪の場合には財産の差押えにまで発展する可能性があるため、適切な対応が必要です。
督促状には、下記の見本のように、「督促状」あるいは「お支払いのお願い」などのタイトルと、支払期日に入金確認ができていないこと、支払期日、請求金額、振込先、連絡先などが記載されているのが一般的です。
督促状の見本
督促状と似たような書類との違い
督促状とよく混同されやすい書類に、催告書と支払督促があります。それぞれ、督促状とは意味や内容が異なるため、その違いを確認していきましょう。
催告書
催告書とは、借金の返済がない場合に、法的手段をとる前の最終通告として送られてくる書類です。
返済を促す債権者からの手紙という意味では督促状と共通していますが、下記の見本のように、タイトルが「催告書」等の強い口調に変わり、内容はより厳しい文面となり、法的手段に訴えるという警告文が記載されています。
催告書の見本
また催告書は一般的に、内容証明郵便という「いつ、どのような内容の文書が、誰から誰に送られたか」が記録に残る方法で送られてきます。
これは、のちの裁判において、「いつ、どのような内容の文書を送ったのか」という事実が証拠として必要になることがあるためです。
そのため、内容証明を送った債権者がのちのち訴訟提起も視野に入れていることを意味します。
催告書が届いた場合、法的手段をとられないようにするためにも、早急に対応しなければなりません。
支払督促
支払督促とは、裁判所から送られてくる、債務者に支払いを命じる内容が記載された書類です。
続けて、債権者・債務者などの当事者の情報や請求の趣旨と原因が記載され、この部分は別紙にまとめられている場合もあります。
支払いを命じる部分に記載されているのは、下記の見本のように、支払いを命じる文言や異議申立てをしなかった場合に起こることの説明などです。
支払督促の見本
支払督促は、法的な効果を持つという点で上記した督促状や催告書と決定的に異なる、重要な書類です。裁判所が送る書類であるため、特別送達という特別な方法で送られてきて、原則としてポストには投函されず郵便配達担当者から直接手渡されます。
支払督促が届いた場合、届いた日から2週間以内に異議申立てをするか借金を返済しなければ、仮執行宣言という財産の差押え手続に進んでしまうため、早急な対処が必要です。
督促状を無視した場合に起こること
督促状が届いても返済ができない場合、無視をしたいと思ってしまうかもしれません。しかし、督促状を無視し続けると、下記のような段階を踏んで状況が悪化してしまいます。
1. 何度も督促状が届いたり電話がかかってきたりする
督促状を無視していると、郵便で督促状が複数回届いて、何度も電話がかかってくることになります。
返済期日を過ぎてから1週間ほどで最初の督促状が届き、その際は比較的優しい文面で未返済分の支払いを求められるのが一般的です。
しかし、その督促状を無視すると、何度も督促状と電話がくるようになり、少しずつ返済を求める姿勢が厳しくなっていきます。
1ヵ月ほどそのような状態が続いても返済がないと、元金や利息に加えて遅延損害金を加算した督促状が届くことになります。
遅延損害金とは、借金の返済が滞った場合に返済期日の翌日から加算されていく損害賠償金です。返済が遅れている金額に対して、利息のように一定割合の金額が加算されていき、返済が遅れるほどその金額は大きくなります。
遅延損害金は上限金利が法律で定められていて、消費者金融などからの借入の場合は年20%です。大きな負担になる可能性があるため、注意しましょう。
2. 連帯保証人が請求を受ける
督促状を無視してから2ヵ月ほどすると、連帯保証人への請求が行われる可能性があります。
連帯保証人は通常の保証人とは異なり、連帯保証人への請求の前に債務者への請求や債務者の財産への差押えをするよう求めたり、保証人が複数いる場合にその人数で債務を分割するように求めたりできる権利がありません。
つまり、連帯保証人は、債権者に請求されたら債務者と同じように返済しなければならないのです。
この段階まで進むと、連帯保証人をトラブルに巻き込んでしまうことになります。
3. ブラックリストに登録される
借金の返済が滞ってから2ヵ月ほど経過すると、信用情報機関のブラックリストに登録されることになります。
信用情報機関とは、クレジットカードや借入に関する契約内容や返済状況といった信用情報を管理する機関です。金融機関や貸金業者は、借入の申込みなどがあった際にこの信用情報を確認して審査を行います。
借金の返済が滞ると、信用情報機関に事故情報として記録されます。これが、いわゆるブラックリストに載っているという状態です。
一度、事故情報が登録されてしまうと、そのあとに返済しても5年間はその情報が残り、クレジットカードや借入の申込みに支障が出るため、注意しなければなりません。
4. 催告書が届き一括返済を要求される
借金の滞納から2ヵ月を超えると、催告書が送られてきます。元金、利息、遅延損害金の一括返済を要求され、期限までに返済がなければ法的手段に訴えると記載されているのが一般的です。
多くの場合、催告書は内容証明郵便で送られてくるため、届いているのに「受け取っていない」と否定することはできません。
5. 裁判所から訴状か支払督促が届く
催告書の期限までに返済がなければ、多くの場合で法的手段がとられることになり、滞納から3ヵ月ほどで、特別送達という方法で裁判所からの書類が届きます。裁判所から届く書類は、「訴状」または「支払督促」のどちらかです。
訴状は裁判の手続に入ったことの通知としての意味を持ち、裁判所への出頭や答弁書の提出といった対応が必要になります。
支払督促は裁判所からの返済を命じる通知としての意味を持ち、差押えを避けたければ2週間以内の異議申立てをしなければなりません。
6. 財産を差し押さえられる
訴状や支払督促が届いても適切な対応をしなければ、債権者の主張するとおりの金額を返済しなければならないということが法的に確定してしまいます。
その結果、債権者は滞納している金額を差押えによって強制的に回収できるようになります。差押えの対象となる財産は、預貯金や給与の一部、不動産、自動車や現金などです。
督促状が届いた場合の対応策
督促状を無視し続けると、最終的には遅延損害金が加算された金額を差押えによって返済しなければならないため、適切な対応が必要です。
しかし、督促状が届いたからといってすぐに督促状の内容どおりに支払うべきではない場合もあります。督促状が届いた場合は、下記の4つのステップで対応しましょう。
1.架空請求か否かの確認
督促状が届いた場合、まず行わなければならないのは架空請求か否かの確認です。架空の事実を捏造し、金銭を請求する督促状を送る詐欺が横行しているため、警察庁や国民生活センターなども注意喚起しています。
届いた督促状に記載されていることが完全に身に覚えのない内容だった場合は、無視をしても問題ありません。
しかし、督促状の発送元が記憶にない会社名だったからといって、無視をしてはいけない場合もあります。
たとえば、滞納していた借金を代わりに返済した保証会社や、借入先から依頼された債権回収業者から督促状が届くケースもあるため、内容をよく確認するようにしてください。
2. 債権者の属性と取引期間の確認
架空請求ではないことがわかったら、債権者の属性と取引期間の確認を行います。
なぜなら、カード会社と長期間取引を行っている場合には、利息制限法で定められた上限金利を超えて利息を支払っている可能性があり、その場合は借金を減額したり過払い金を回収できたりする可能性があるためです。
過払い金について詳しくは、以下のページをご覧ください。
3. 時効の確認・援用
過払い金の確認を行ったら、消滅時効制度が活用できないかを確認する必要があります。
消滅時効制度とは、借金の返済が滞っている場合でも、最後の返済日から5年以上の期間にわたって債権者から請求などが行われていなければ、借金の返済義務(債務)が消滅するという制度です。
そのため、督促状が届いたら、いつから返済が行われていない借金なのかを確認することをおすすめします。
ただし、5年という期間が経過すればすぐに債務が消滅するわけではなく、債務者が時効を援用するという手続を行わなければなりません。
時効の援用について詳しくは、以下のページをご覧ください。
4. 期限内の返済
督促状が架空請求ではなく、消滅時効も活用できそうにない場合は、督促状に記載された期限までに返済する法的義務がある可能性が高いといえます。
返済が遅れると遅延損害金が加算され、差押えの危険が高まるため、どうにかして全額返済ができないか検討してください。
督促状どおりの返済ができない場合の対処法
督促状が届いた場合、すみやかな返済ができれば、それがベストの方法です。しかし、どうしても督促状どおりの返済ができない場合は、弁護士に相談して債務整理を検討することをおすすめします。
債務整理とは、借金が返済できなくなった場合に、債権者との交渉や裁判所の関与によって、借金を減らしたり支払いに猶予を持たせたりすることができる手続です。
債務整理の主な方法としては任意整理・個人再生・自己破産の3種類があり、それぞれ下記のような特徴があります。
債務整理の3種類の方法の特徴
- 任意整理:毎月の返済金額を減額するために債権者と借金の減額や金利の引き直しなどの交渉を行い、生活に支障のない範囲での返済を行えるようにする手続
- 個人再生:現在の借金が返済困難であることを裁判所に認めてもらい、減額された借金を3~5年かけて分割で返済していく手続
- 自己破産:収入などの状況から借金の返済が不可能であることを裁判所に認めてもらい、法律上、借金の支払義務を免除してもらう手続
この3種類の方法のうちいずれの方法を選ぶかは、どの程度の収入があってどの程度の返済が可能かといった点や債務の総額などの状況によっても異なります。
どの方法でも、破産法・民事再生法といった法律の専門知識や金融機関との交渉力が必要になるため、弁護士に相談するのが一般的です。
債務整理について詳しくは、以下のページをご覧ください。
督促状が届いたら無視せずに、弁護士に相談しよう
督促状が届いても、ただちに差押えなどが起こるわけではありません。
しかし、催告書や支払督促などが届く段階まできてしまうと、差押えの危険が差し迫っているため、すぐに対応が必要です。
督促状を無視し続けると遅延損害金が加算され、支払わなければならない金額も膨らんでしまいます。放置することで事態を複雑化させないように、すみやかな返済ができないなら債務整理を検討しなければなりません。
アディーレ法律事務所では、豊富な借金問題解決の実績をもっており、状況に応じた最適な債務整理の方法をご提案しております。借金問題にお困りの場合は、お一人で悩まずに、ぜひご相談ください。
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監修者情報
- 資格
- 弁護士
- 所属
- 第一東京弁護士会
- 出身大学
- 早稲田大学法学部,首都大学東京法科大学院
困りごとが起きた時,ひとりで考え込むだけでは,どうしても気持ちが暗い方向に向かいがちで,よい解決策も思い浮かばないものです。そのようなときは,ひとりで抱え込まないで,まず専門家に相談することが,解決への近道ではないでしょうか。どのようなことでも結構ですので,思い悩まずにご相談ください。依頼者の方々が相談後に肩の荷を降ろして,すっきりとした気持ちで事務所を後にできるよう,誠心誠意力を尽くします。