自己破産すると家族はどうなる?5つの影響について解説
「借金をどうにかしないといけない。でも、自己破産をすると家族の車や貯金を処分されてしまうかもしれない…」
「家族が自己破産を考えているけど、自分の財産に影響がないか心配」
そのようなお悩みを抱えている方は、ご安心ください。
自己破産をしても、家族名義の財産は原則として処分されません。
ただし、ご家族の所有する財産が、自己破産をする本人の収入や借金で工面されたものである場合は、実質的に自己破産をする本人の財産だとみなされることがあります。
そうなると、さまざまな影響がおよぶおそれもあるため注意が必要です。
そこで本ページでは、自己破産をすると家族にどのような影響があるのかを詳しく解説します。
借金をどうにかしたいけれど、家族には迷惑をかけられないとお考えの方にとって、きちんと知っておくべき内容となっております!
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自己破産すると家族はどうなる?
自己破産をすると、状況によっては家族は以下のような影響を受けます。
- 家や車がなくなる可能性がある
- 家族が保証人の場合は借金を肩代わりする
- 家族カードが使えなくなる
- 保険が解約となる可能性がある
- 子ども名義の預貯金が処分される可能性がある
順番に解説していきます。
家や車がなくなる可能性がある
破産する方の名義の家や車など、20万円以上(※)の高価な財産が、処分の対象となる可能性があります。
また、破産する方の名義ではなくとも、購入資金が破産する方の収入や借金から工面されたものであれば、実質的に破産する方の財産だとみなされて、処分の対象になることがあります。
※東京地方裁判所の場合。
家族名義の財産(車、貯金など)は処分されない
配偶者が自分で購入した車や配偶者の名義の口座にある貯金、両親がローンを組んで購入した家など、家族が所有している財産は自己破産では処分されません。
自己破産で処分されるのは、あくまで破産する方が所有しているとみなされる高価な財産です。
家族が保証人の場合は借金を肩代わりする
銀行からのローン借入や奨学金を借り入れる際には、家族を保証人に立てることがあります。
そして自己破産をすると、破産する方の抱えている借金を保証人が肩代わりすることになります。
特に、家族が連帯保証人になっている場合は、肩代わりした借金を一括で支払わないといけません。
そのため、自己破産をするのであれば、家族には秘密にせずきちんと打ち明けたほうがよいでしょう。
保証人がいない借金については影響なし
たとえば、クレジットカードやカードローンの場合は保証人を立てません。
そのため、カードの借入による借金が残っている状態で自己破産しても、家族が借金を肩代わりすることはありません。
家族カードが使えなくなる
自己破産を行うと、破産する方の契約している(本会員となっている)クレジットカードは解約になります。
本会員の解約に伴い、家族カードも解約となり、使えなくなります。
家族が契約しているカードはそのまま使える
家族が契約して本会員となっているクレジットカードは、そのまま利用できます。解約となるのは、破産する方が契約しているクレジットカードの家族カードです。
保険が解約となる可能性がある
解約返戻金(保険を解約した際に、保険会社が契約者に返すお金)の金額によっては、裁判所(破産管財人)によって保険が解約されます。
また、破産する方の加入している保険だけでなく、破産する方が保険料を支払っている保険(子どもの学資保険や結婚相手の生命保険など)も解約される可能性があります。
子ども名義の預貯金が処分される可能性がある
破産する方が「子どもの将来のために」と自身の収入から預金しているお金は、子ども名義の銀行口座に入っているとしても、実質的には破産する方の財産とみなされて処分される可能性があります。
自己破産しても家族に影響しないこと
自己破産することで家族に影響がある一方で、影響しないこともあります。それらについて詳しく見ていきましょう
家具や家電などは処分されない
ベッドやタンス、冷蔵庫に洗濯機、テレビなどは、自己破産をしても基本的に処分されません。
法律によって「生活に必要不可欠な財産は処分されない」と定められているからです。
ただし、あまりにも高価な品物、たとえば20万円以上の価値があるアンティーク家具や、テレビを3、4台持っているなどの場合は、処分される可能性があります。
現在の仕事や、今後の就職・転職に影響はない
自己破産したからといって、家族の仕事には影響がありません。配偶者が転職を考えている、子どもが学校を卒業して就職する、といった場合でも同様です。
自己破産によって、仕事に影響が出ることがあるのは本人だけとなります。
子どもの結婚に影響はない
子どもの結婚に影響が出ることも考えにくいです。
自己破産をすると官報(国が発行する新聞のようなもの)に情報が載りますが、家族の情報は掲載されません。
もちろん、戸籍や住民票にも自己破産について記載されることはないので、相手の家族に知られることはほぼないと言えるでしょう。
信用情報に悪影響はない
破産する方本人の信用情報には、事故情報が登録(いわゆるブラックリストに載る)されますが、家族の信用情報には何も登録されません。
そのため、家族が新しくカードを作ったりローンを組んだりすることは基本的に可能です。ただし、家族の信用情報を調査して、審査に通らない場合もまれにあります。
家計を別にしている家族に影響はない
別居中の家族など、家計が別になっている家族には基本的に影響しません。
同居家族には、収入や財産に関する書類の提出を求められますが、家計が別であればその手間はかかりません。裁判所から何か書類が送られてくることもないです。
ただし、借金の保証人になっている場合は、破産する方の借金を肩代わりすることになるため注意してください。
家族にバレずに自己破産することはできる?
結論から言って、家族に知られずに自己破産をするのは難しいです。
たとえば、自己破産によって車が処分されてしまったり、裁判所に提出する書類作成を手伝ってもらったりすれば、家族が何も気づかないということはないでしょう。
それでも、無理に隠し通そうとすれば、余計なトラブルに発展する可能性もあります。
したがって、自己破産をする場合には、前もって家族としっかり話し合い、理解を得られたうえで行うようにしましょう。
自己破産をするとき家族に迷惑をかけないためにできること
このように、自己破産をすると少なからず家族に影響を及ぼします。
そこで、少しでも家族への負担を減らすためにできることや、迷惑をかけないために注意すべきことを以下で紹介していきます。
財産を隠さない
自己破産の手続で借金の支払義務を免除してもらうためには、返済不能であることを証明する必要があります。
そのため、所有している財産を漏れなく申告しなければなりません。
しかし、以下のような行為をしてしまうと、「財産を隠した」として、免責が認められないおそれがあります。
- 高価な財産を一時的に家族や知人に預ける
- 家や車の名義を家族へ変更する
- 家族や親族に生前贈与や財産分与をする
免責が認められなければ、今後も借金で悩み続けることになり、家族にも負担をかけてしまうことになりかねません。
免責を認めてもらい生活を立て直すためにも、財産を隠すことはやめましょう。
偏頗弁済(へんぱべんさい)をしない
自己破産をする際、処分した財産はすべての債権者に平等に配分しなければなりません。
そのため、特定の債権者にだけ返済(偏頗弁済)をすることは禁止されています。偏頗弁済をしてしまうと、免責は認められません。
家族に迷惑をかけたくないからといって、家族や友人からの借金のみを返済しないように注意しましょう。
「家族に借りたお金はどうしても返したい」という場合は、自己破産することをきちんと説明したうえで、免責を認めてもらったあと少しずつ返していくこともできます。
「迷惑をかけるから」という理由で離婚しない
自己破産をすると迷惑をかけるという理由だけで離婚することは、おすすめできません。
自己破産の手続をする前に離婚をし、必要以上に配偶者に財産を渡した場合、「財産を隠した」とみなされてしまうおそれがあります。
また、配偶者が借金の保証人になっている場合もあるでしょう。しかし、離婚したからといって保証人ではなくなるわけではないため、注意しましょう。
自己破産以外の債務整理を検討する
「借金ゼロと引き換えにマイホームがなくなるのは困る…」
「家族が連帯保証人になっているから、自己破産できない…」
こういったことでお悩みの方もいらっしゃると思います。これらのお悩みは、自己破産以外の債務整理を行うことで解消できるかもしれません。
任意整理
任意整理は、遅延損害金や将来利息のカット、原則3年(長くとも5年程度)での返済をカード会社と交渉する方法です。借入を行っているすべてのカード会社と交渉する必要はなく、交渉相手を選べます。
そのため、家族が保証人になっているカード会社を手続の対象から外せば、家族が借金を肩代わりすることを回避できます。
任意整理について詳しくは、以下のページをご覧ください。
個人再生
個人再生は、住宅等の高価な財産を残したまま、住宅ローンを除く借金を5分の1程度まで減額し、減額された借金を原則3年(長くとも5年程度)で返していく手続です(※)。
自己破産とは異なり、手続後も返済が必要になりますが、住宅等の財産を残したまま借金の大幅減額を目指せます。
※どれぐらい減額されるかは借入や資産の状況によります。
個人再生について詳しくは、以下のページをご覧ください。
自己破産の家族への影響に関するよくある質問
自己破産をする際の家族への影響について、お客さまからよく寄せられる3つのご質問にお答えします。
自己破産すると子どもの進学に影響しますか?
自己破産をしても、お子さまの進学に直接影響が出ることはありません。
お子さまが奨学金を利用することも可能です。
ただし、事故情報が登録されている間は、自己破産をした本人が奨学金の保証人になることはできないため、注意が必要です。
配偶者や祖父母などが保証人となるか、保証人を設定しなくてよい機関保証制度の利用を検討しましょう。
また、自己破産をした本人は一定期間ローンを組めなくなるため、教育ローンなどにより学費を工面することは難しくなります。
自己破産したことを近所の人に知られることはありますか?
自己破産したことを近所の人に知られる可能性は低いでしょう。
自己破産したことは、官報という国が発行している新聞のようなものに掲載されます。
しかし、官報を見ているのは市町村役場や金融機関などで働く一部の人のみです。一般の方が官報を見ることはほとんどありません。
そのため、官報に載ったことによって自己破産したことを近所の人に知られる可能性は低いといえます。
家族が自己破産の手続に同席する必要はありますか?
手続のために裁判所へ行く必要があるのは自己破産をする本人のみです。
家族が手続に同席する必要はありません。
家族にできるだけ迷惑をかけず自己破産するためにも、弁護士にご相談を
自己破産すると、家族に多少の影響が出てしまうことはあります。
しかし、必要以上に家族への影響をおそれて自己破産に踏み出さないままでいると、状況が悪化し、家族に余計な負担がかかってしまうかもしれません。
そうならないためにも、自己破産をお考えであれば、お早めに弁護士にご相談いただくのがおすすめです。
弁護士と一緒に適切に手続を進め、一日も早く生活を立て直すことができれば、家族に余計な負担をかけることもなくなります。
借金や収入などの状況によっては、家族にできるだけ迷惑をかけない債務整理の方法を提案してもらえる可能性もあるでしょう。
アディーレ法律事務所では、自己破産をはじめ借金のお悩みに関するご相談を何度でも無料で承っております。
「自己破産の家族への影響が心配」という方も、まずは一度ご相談ください。
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このページの監修弁護士
早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2010年弁護士登録。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。