個人再生でやってはいけないこと5選!失敗したときの対処法も解説
個人再生は、あまり法律の知識がない方からすると複雑な手続です。だからこそ、「やってはいけないことって何?」、「失敗したらどうしよう…」と考えてしまいますよね。
なかには「これくらいは大丈夫だろう」と思った行動が、失敗の原因になってしまうこともあります。
このページでは、個人再生でやってはいけない5つのことを、弁護士がわかりやすく解説いたします。
万が一、失敗したときの対処法も紹介しますので、本ページで必要な知識を身につけて、安心して手続できるようにしましょう。
※本ページでは、特に断りがない限り、給与所得者等再生も含めて「個人再生」と呼びます。
個人再生の手続でやってはいけないこと5選
個人再生の手続でやってはいけないことは以下のとおりです。
- 特定の債権者にだけ優先して返済
- うその申告をする
- 新たな借入をする
- 再生計画案など書類の提出期限を守らない
- 返済テスト(履行テスト)をおろそかにする
順番に解説していきます。
特定の債権者にだけ優先して返済
家族や友人など、特定の借入先にだけ借金を返したいと考える人がいらっしゃるかもしれません。
しかし、特定の債権者だけ優先して返済することを「偏頗(へんぱ)弁済」といい、個人再生の手続に悪影響が出ることがあります。
具体的には、偏頗弁済したお金は「あなたが持っていたはずの財産」として扱われるため、手続後の返済額が増えてしまうリスクがあり、個人再生自体が認められなくなる可能性もあります。
うその申告をする
当然ですが、裁判所にうその内容を申告してはいけません。
「収入が少ないように見せかける」、「都合の悪い借入先を隠す」などの行為は、申立てが認められなかったり、途中で手続が認められなくなったりする可能性があります。
悪質な場合には、「詐欺再生罪」という罪に問われるリスクもあるため、絶対にしてはいけません。
新たな借入をする
手続の最中に借入をして、借金総額が変わるようなことはやめましょう。
たとえば「これから借金が減るんだから、その前にたくさん借りよう」などと考えると、裁判所に悪質な申立てと判断され、個人再生が認められないリスクがあります。
基本的に、申立後は金融期間から新たな借入ができなくなりますが、家族・友人などから借りることはできるので、くれぐれも注意してください。
再生計画案など書類の提出期限を守らない
裁判所から提出を求められる書類は手続に必要なものばかりなため、提出が遅れると手続に支障が出ます。
特に再生計画案(減額後の借金総額や月々の返済額、分割回数などが記された具体的な計画表のこと)は、裁判所が手続を認めてもいいか判断する際、もっとも重要なものです。
この再生計画案の期限が守れないと、その時点で手続が廃止されてしまいます。
返済テスト(履行テスト)をおろそかにする
裁判所に再生計画案を提出すると、「この人は本当に返済していけるのか?」を判断するためのテスト(履行テスト)が行われることがあります 。
具体的には、原則6ヵ月の間、指定された期日と振込先に、再生計画で取り決めた金額を振り込んでいきます。
テストだからといっておろそかにすると、「実際の返済もできないのでは?」とみなされて手続が認められなくなる可能性があるため、必ず支払うようにしましょう。
個人再生手続後の注意点
個人再生は、減額後の借金を完済して手続が完了します。そのため、手続後の返済は絶対におろそかにしてはいけません。
そして、返済が難しくなってしまう以下のような行動は避けるべきです。
- ギャンブル
- 浪費
- 収入が下がる転職(および退職)
やむを得ない事情で返済が難しくなった場合は、条件次第で返済期間を伸ばしてもらえることもあるため、弁護士などに早めに相談するようにしましょう。
個人再生でやってはいけないことをすると?
借金が減額されない
個人再生の手続に失敗すると、減額された借金が元に戻ってしまいます。
それどころか、手続をしていた期間の利息や遅延損害金と合わせて、一括返済を求められる可能性があります。
支払った費用が戻ってこない
個人再生の手続をする際、裁判所には申立費用を支払いますし、弁護士などに手続を依頼していれば、弁護士費用などを支払います。
個人再生の手続に失敗すると、すでに支払った費用は戻ってこないため、すべて無駄になってしまいます。
個人再生で失敗したら?
令和2年度の個人再生の総数(※)が12,712件に対して、手続が完了した数(終結件数)は11,870件。つまり、約93%のケースが成功しています。
一方で、残りの約7%は失敗していることも事実です。
では、万が一失敗してしまったときはどうすればいいのでしょうか?
以下で詳しく解説いたします。
※令和2年度 司法統計『第109表_再生既済事件数_事件の種類及び終局区分別_全地方裁判所』より
もう一度、個人再生の申立てを行う
個人再生の手続は、途中で失敗しても、もう一度やり直せます。
たとえば、提出した再生計画案が認められなかった場合は、どこがよくなかったのかを確認して、借金の免除額を少し下げるなどの変更を行います。
重要なのは、失敗した原因を理解することと、その解決策を用意したうえで再申立てすることです。
ただし、個人が利用する民事再生の手続には、「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の2つの手続があり、給与所得者等再生は一度申立てをして再生計画認可決定が確定してから7年間は再度の給与所得者等再生の申立てができません。
この期間内に再申立てする場合は、小規模個人再生で手続しましょう。
再生計画の変更かハードシップ免責を申し立てる
やむを得ない事情で減額後の返済が難しくなったら、手続に失敗してしまいます。
もし返済が難しくなったら、再生計画の変更を検討しましょう。条件を満たせば、返済期限を最長で2年伸ばすことができます。
また「ハードシップ免責」を利用する方法もあります。ハードシップ免責とは、やむを得ない事情によって再生計画どおりに返済できなくなった場合、4分の3以上の返済を行っていれば、残りの支払義務が免除される制度のことです。
自己破産に切り替える
個人再生に失敗した原因について、どうしても解決策を用意できない場合は、自己破産に切り替えましょう。
個人再生の申立てが失敗したあと、自己破産に切り替えて手続することはまったく問題ありません。自己破産であれば、基本的には借金がすべて免除されます。
ただし、個人再生にはないデメリットもあるため、十分に確認してから手続するようにしましょう。
債務整理に詳しい弁護士に依頼すると安心
ご紹介してきたように、個人再生の手続には注意すべきことが多く、法律の知識も必要です。一般の方が1人で行うのは難しいと言わざるを得ません。
だからこそ、法律の専門家である弁護士に相談することには大きな意味があります。
特に、債務整理に詳しい弁護士や法律事務所に依頼することで、安心して個人再生を行えます。
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このページの監修弁護士
早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2010年弁護士登録。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。