過払い金を請求するとクレジットカードは使えなくなる?使えるケースは?
「過払い金請求をしてみたいけど、クレジットカードを使えなくなるのかな?」
確かに過払い金を請求すると、請求先の会社が発行するクレジットカードなどが使えなくなる可能性はあります。
ですが、過払い金請求をしても、すべてのクレジットカードが使えなくなるわけではありません。
過払い金を請求するとき、どういった場合にクレジットカードが使えなくなり、どういった場合なら使えるのか、詳しく見ていきましょう。
過払い金が発生する仕組みとは?
「過払い金」とは、カード会社に支払いすぎていた利息のことです。
かつて、利息制限法を超えた利息を取っても、「出資法」という法律で定められた上限金利29.2%を超えなければ罰則はありませんでした。
この時期に、カード会社の多くは、「利息制限法と出資法の上限金利の間(グレーゾーン金利)」による利率を設定し、違法に高い利息を取っていました。
そのため、カード会社に対して利息を支払いすぎることになり、過払い金が発生したのです。
過払い金が発生する仕組みについて詳しくは、以下のページもご覧ください。
過払い金の仕組みについて詳しく見る
過払い金を取り戻せる可能性があるケースとは?
以下の条件を満たす場合、過払い金を取り戻せる可能性があります。
- 借入を開始したのが2010年6月17日以前
- 最後に借入・返済をした日から10年以内
それぞれ詳しく解説します。
借入を開始したのが2010年6月17日以前
2010年6月18日以降は、法改正によってグレーゾーン金利の利息を取るカード会社がなくなったため、利息を支払いすぎることはなくなりました(※)。
そのため、基本的には2010年6月17日以前に借入を開始した方に、過払い金が発生している可能性があります。
過払い金の対象について、詳しくは以下のページもご覧ください。
※2010年6月18日以降も違法な金利で貸付を行っていた一部のカード会社については、2010年6月18日以降の貸付に対しても過払い金が発生している可能性があります。
過払い金の対象について詳しく見る
最後に借入・返済をした日から10年以内
過払い金は、消滅時効を迎えると請求できなくなります。
原則として、過払い金の時効は最後に借入・返済した日から10年です。
2020年4月1日以降に完済した場合は、完済した日から10年、または過払い金を請求できることを知ってから5年で時効を迎えます。
過払い金の時効については、以下のページでも詳しく解説しています。
過払い金の時効について詳しく見る
過払い金請求をしてクレジットカードが使えなくなる可能性のあるケース
過払い金請求をしたからといって、必ずしもクレジットカードが解約されて使えなくなったり、新たに作れなくなったりするわけではありません。
特に、借金を完済している場合には、過払い金請求とは関係のない他社のクレジットカードが使えなくなることは基本的にありません。
ただし、主に以下のケースでは、クレジットカードの使用や新規発行に影響が出るおそれがあるため注意が必要です。
- 過払い金請求をした会社のクレジットカードの場合
- 過払い金請求をした会社と同一グループ会社のクレジットカードの場合
- 過払い金請求をしても、借金が残ってしまう場合
それぞれご説明します。
過払い金請求をした会社のクレジットカードの場合
過払い金を請求する場合、会社によっては、その会社の発行するクレジットカードは使えなくなることがあります。
過払い金請求をしたあと、同じ会社のクレジットカードを新規作成することも難しくなるでしょう。
なお、過払い金請求ができるのは「キャッシング分」のみですが、クレジットカード自体が使えなくなることにより、ショッピング機能も利用できなくなる点に注意が必要です。
また、同じ会社のクレジットカードを複数持っている場合も、そのうち1枚について過払い金請求をすると、原則としてすべてのカードが使えなくなります。
請求先のクレジットカードを公共料金や家賃などの支払いに使っている場合には、支払方法を変更したり、ポイントを使い切ったりしておきましょう。
過払い金請求をした会社と同一グループ会社のクレジットカードの場合
過払い金請求をした会社と同じグループ会社のクレジットカードは、基本的に有効期限の途中で使えなくなることはありません。
ただし、新規作成ができなくなったり、更新の審査が厳しくなるおそれがあります。
過払い金請求は、支払いすぎたお金を取り戻すための正当な権利行使です。
ですが、過払い金請求を受けた側の会社は、「支払いたくなかった」と考えて、社内やグループ会社内で「この人は過払い金請求をした」という情報を記録することがあるのです(いわゆる「社内ブラック」)。
ですから、新たにクレジットカードを作るという場合には、過払い金請求をした会社と無関係の会社を選ぶといいでしょう。
過払い金を請求しても、請求先の借金が完済できない場合
過払い金の請求先に借金が残っており、過払い金を返済に充ててもまだ借金が残ってしまう場合、以下のような影響が出る可能性があります。
- 過払い金の請求先だけではなくほかの会社のクレジットカードも強制解約される
- 一定期間はクレジットカードの新規作成ができなくなる
これは、「債務整理をした」として信用情報に事故情報が登録される(いわゆるブラックリストに載る)ためです。
ただし、借金を完済しているA社に過払い金を請求した場合に、B社の借金が残ってしまっても、クレジットカードが使えなくなることはありません。
完済している会社に対する過払い金の請求は、事故情報にはあたらないためです。
信用情報に事故情報が登録されるケース
信用情報とは、借入の申込み・契約・支払状況などに関する情報のことです。
以下のようなケースでは、信用情報に事故情報が登録されます。
- 支払いを延滞した
- 支払いを延滞したために代位弁済された
- 債務整理をした
事故情報が登録されると、「返済能力に問題がある」と思われて、新たな借入やクレジットカードの新規作成ができなくなります。
過払い金を請求しても必ず信用情報に登録されるわけではない
過払い金を請求すること自体は「事故情報」にはあたりません。
「債務整理をした」として事故情報が登録されるのは、過払い金を請求しても、請求先の借金が完済できない場合に限られます。
なお、カード会社によっては過払い金請求をした時点で「債務整理をした」という情報が登録されることがありますが、過払い金で借金を完済できればその時点で情報が削除されます。
事故情報は一定期間が経つと抹消される
事故情報は、一定期間経つと抹消されるため、「一生そのまま」ということはありません。
「債務整理をした」という情報であれば、5~7年間(※)で抹消されます。
「事故情報」が抹消されれば、クレジットカードの新規発行ができるようになります。
※2022年11月4日以前については5~10年間。
複数のカード会社へ過払い金を請求するときのポイント
過払い金を請求するカード会社は、自由に選べます。
そのため、複数のカード会社から借金をしている場合、まずは完済している会社や、過払い金を取り戻せる可能性が高いカード会社に請求すればいいでしょう。
そうすれば、基本的には信用情報に事故情報が登録されないため、クレジットカードが使えなくなることはありません。
戻ってきた過払い金をほかの借金の返済に充てることもできるため、返済も楽になるはずです。
過払い金請求は自分でできる?
過払い金請求をご自身だけで行うのは、難しいといえます。
過払い金請求をするには、支払いすぎた利息を把握するための引き直し計算や、カード会社との交渉が必要です。しかし、正しい法的知識や経験がないと、適切な金額を請求できません。
また、交渉で和解できない場合、裁判所に訴訟を提起する必要があります。
そのため、過払い金請求は弁護士に依頼することをおすすめします。
弁護士に依頼すれば、引き直し計算やカード会社との交渉はもちろん、訴訟を提起する場合もあなたの代わりに対応してもらえるため、安心です。
過払い金請求は弁護士へご相談を
弁護士に依頼すると弁護士費用はかかりますが、弁護士であればこれまでの裁判例などをふまえて粘り強くカード会社と交渉しますので、ご自身で交渉されるよりも結果的に返還される過払い金が増額されることも多いです。
アディーレのように「過払い金請求についての相談は無料」という法律事務所もありますので、まずはそのような事務所に相談されることをおすすめします。