債権回収会社とは?手紙が届いたらどうすればいい?

債権回収会社とは?手紙が届いたらどうすればいい?

突然、債権回収会社から手紙が届いたあなたは、「放置するべき?連絡するべき?」と悩んでいるのではないでしょうか。

結論からいうと、今すぐ連絡を取るべき場合と、焦って連絡を取らないほうがいい場合があります。

本ページで、「債権回収会社とは何なのか」、「債権回収会社から手紙が届いたらどう対応するべきか」を見ていきましょう。

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債権回収会社(サービサー)とは?

債権回収会社(サービサー)とは、借金の支払いに応じない債務者に対し、債権者の代わりに債権を行使して、債権回収を専門に行う会社のことをいいます。
簡単にいうと、カード会社や金融業者の代わりに、借金の取立てをする会社のことです。

「取立て専門の会社」と聞くと、このように思い浮かべる方もいらっしゃるでしょう。

「違法な団体なのかな?それなら無視しても問題ないのでは?」
「暴力団が関与していそう」

しかし、債権回収会社は違法なことを行うあやしい会社ではありません。
以下で詳しく解説していきます。

債権回収会社は法律で認められている業者

一般的な債権回収会社は、債権管理回収業に関する特別措置法(通称:サービサー法)という法律により、債権の回収業務を特別に認められている会社です。

最低限、次のような条件を満たした会社でなければ、金融機関などから委託されたり、債権を譲り受けたりして、債権の回収業務をすることはできません。

  • 資本金が5億円以上ある
  • 常務に従事する取締役に弁護士が1名以上いる
  • 暴力団との関わりがない
  • 法務大臣から許可が下りている

上記のように、暴力団を排除することや、取締役に弁護士がいることが条件となっています。

そのため、違法なことを行うあやしい会社ではないとご理解いただけると思います。

代表的な債権回収会社20社

令和6年3月1日の時点では、法務大臣から許可を得て、営業している債権回収会社が72社あります。

そのなかでも、代表的な債権回収会社として、以下の20社をご紹介します。

  • 日本債権回収株式会社
  • アビリオ債権回収株式会社
  • ニッテレ債権回収株式会社
  • SMBC債権回収株式会社
  • オリックス債権回収株式会社
  • ジャックス債権回収サービス株式会社
  • あおぞら債権回収株式会社
  • エム・ユー・フロンティア債権回収株式会社
  • セゾン債権回収株式会社
  • 中央債権回収株式会社
  • オリンポス債権回収株式会社
  • 三菱HCキャピタル債権回収株式会社
  • 九州債権回収株式会社
  • アイ・アール債権回収株式会社
  • アウロラ債権回収株式会社
  • 株式会社住宅債権管理回収機構
  • 株式会社エムアールアイ債権回収
  • ジャパントラスト債権回収株式会社
  • アルファ債権回収株式会社
  • パルティール債権回収株式会社

法務大臣による許可順

今回紹介できなかった債権回収会社については法務省が公開している『債権管理回収業の営業を許可した株式会社一覧』で確認できます。

債権回収会社と金融機関の関係

債権回収会社は、金融機関から回収業務の手数料を得たり、安く大量に買い取った債権の一部を回収したりすることで、利益をあげています。

通常、お金を貸した金融機関は、自分たちで債権の回収を行いますが、滞納が続くなど回収が困難になった場合には、自分たちで債権を回収することを諦めます。

そして、金融機関が自分たちで債権の回収をすることを諦めた際には、債権回収会社に回収業務を委託したり、債権を債権回収会社に譲渡したりします。

債権回収会社と金融機関の関係

金融機関は、回収が難しい債権を自社から切り離し、債権回収の専門会社に丸投げができるため、こんなに便利な存在はありません。

このため、債権回収会社は、大手金融機関の子会社や関連会社であることも多いです。

債権回収会社には消費者金融からの借入以外の債権も譲渡される

サービサー法では、債権回収会社は「特定金銭債権」に限って引き受けることができるとされています。

特定金銭債権とは、金融機関の貸金や、クレジットカードを利用して分割払いで購入した代金などです。

そのほか、破産手続をしている人が持っている債権や保証会社との契約に基づく債権などが、特定金銭債権として定められています。

そして特定金銭債権には含まれませんが、携帯料金や水道光熱費も、集金代行として債権回収会社が請求することがあります。

債権回収会社から連絡がきた時点で、いわゆるブラックリストに登録されている

債権回収会社から連絡がきたということは、すでに何度も滞納をしており、滞納を理由に信用情報機関の事故情報(いわゆるブラックリスト)に登録されている状態だと思われます。

この状態になると、新たな借入やクレジットカードの作成ができないのが通常です。

もし、事故情報に登録されることを懸念して、債務整理を避けたいと考えるのは、今の状況にとって最悪の選択かもしれません。

早めに弁護士へ相談し、今後のアドバイスをもらったり、債務整理を依頼したりしたほうが、給与の差押えなど、将来的なリスクを避けるのに有効といえます。

債権回収会社から連絡がくるときの流れと取るべき行動

債権回収会社から連絡がくるときの大まかな流れは、以下のとおりです。

債権回収会社から連絡がくるときの大まかな流れ

具体的にどのような手順で、債権回収会社が債権を回収するのかをご説明します。

債権譲渡または債権回収の委託をしたとの通知がくる

金融機関から、債権回収会社に債権を譲渡した、または回収を委託したという通知書が届きます。

通知と同時に、督促も行われることが多いです。

債権回収会社から督促がくる

債権回収会社から、全額を一括で支払うように督促がきます。

ここでの全額とは、元金に利息や遅延損害金を加えた金額であることが多く、何年も滞納している場合は、元金の2倍以上の金額を支払うよう督促されることもあります。

まずは書面が送られてきますが、電話や自宅訪問による督促もあります。

放置するのは危険!督促がきたらするべきこと

督促がきたら、絶対に放置してはいけません。
放置したままにしておくと、裁判を起こされたり、最終的に給料などを差し押えられたりするリスクがあるためです。
以下のように、適切に対応しましょう。

督促状の内容を確認する

まずは、督促状が法務省に許可された債権回収会社からの正当な請求であるか確認しましょう。
督促状の内容に心当たりがある場合は、速やかに対処が必要です。

ただし、法務省に許可された債権回収会社に該当しない場合や、まったく身に覚えがない場合は、債権回収会社を装った架空請求であるおそれがあります。
特に、以下のような督促状が送られてきた際は、焦って連絡や支払いをしないよう注意しましょう。

  • 目隠しシールのないハガキを使用している
  • 個人名義の口座が振込先に指されている
  • 連絡先として多数の電話番号が列挙されている
  • 担当者の連絡先が携帯電話の番号になっている など

心当たりがある場合は、すぐに支払う

心当たりがある場合は、速やかに支払いを行いましょう。
督促状を確認し、記載されている指定の方法で支払いを行います。

すぐに支払えない場合は、返済方法について交渉する

まとまったお金を用意できず、すぐに支払えない場合は、債権回収会社と返済方法について交渉する必要があります。
ご自身で債権回収会社の連絡窓口に電話をし、今後の支払いについて話し合いましょう。
誠実に対応すれば、分割払いや遅延損害金の減額に応じてくれることもあります。

ご自身での交渉や返済が難しい場合は、弁護士に相談する

ご自身で対応するのが不安であれば、弁護士に相談するのがおすすめです。弁護士が交渉することで、より有利な内容で合意できる可能性があります。

また、ほかにも借金があり返済が難しい場合には、借金を減らしたり、返済を楽にするための債務整理の方法を提案してもらえます。

訴状の送付や支払督促により裁判所から連絡がくる

督促を無視したり、今後の支払いについて話がまとまらなかったりすると、債権回収会社は裁判を起こしてきます。

裁判には、大きく分けて訴訟と支払督促の2つの方法があります。

訴状が届いたらするべきこと

訴訟の場合、裁判所から訴状が届きます。訴状が届いたら、以下のように対応しましょう。

訴状の内容を確認する

まずは、主に以下の内容を確認します。

  • 呼出期日の日程
  • 答弁書の提出期限
  • 借金額や借入日

これは、あなたの言い分を答弁書に書いて提出したり、指定された日時に裁判へ出頭して口頭で希望を伝えたりする必要があるためです。

答弁書を提出せず、出頭もしなかった場合は、債権回収会社の言い分をすべて認めたと扱われて、「遅延損害金も含めて全額を一括で支払うように」という判決が出てしまいます(欠席判決)。

答弁書を書いて提出する

訴状の内容を把握したら、答弁書を期限までに提出しましょう。
答弁書に記載する主な内容は、以下のとおりです。

  • 請求の内容を認めるか、認めないか
  • 請求の内容に間違っている部分があるか、ないか
  • 請求の内容に知らない部分があるか、ないか
  • あなたの言い分
  • 希望する支払方法などの和解条件 など

ただし、あなたの主張が法的に適正でない場合には、不利な証拠となってしまうおそれがあります。スムーズに解決するためにも、弁護士などに依頼して代わりに対応してもらうのが安心です。

支払督促が届いたらするべきこと

支払督促は、訴訟に比べてより簡易な裁判制度です。
手元に裁判所から書類が届いたら、2週間以内に異議を申し立てましょう。

期間内に異議を申し立てれば、通常の訴訟に変更され、訴訟のときと同様に分割払いの希望を出すなどの対応をすることになります。
支払督促も、放置すると裁判に負けたのと同様の結果となり、強制執行ができるようになるため注意が必要です。

返済せずに5年経っていれば、消滅時効により借金をゼロにできる可能性がある

5年以上にわたって支払いを一切していない場合、督促が届いてもすぐに連絡しないよう注意する必要があります。
消滅時効を迎えていた場合、そのことを主張(時効の援用)すれば返済が不要になる可能性があるためです。

消滅時効とは、お金を借りた人(債務者)がお金を貸した人(債権者)に対して請求等をせず、法律で定められた期間が経過した場合に、債権者の法的な権利を消滅させる制度です。基本的には5年で時効が完成し、借金の返済義務がなくなります。

しかし、消滅時効を迎えているのに連絡を取ってしまうと、時効がリセットされてしまうため、時効の援用ができなくなるリスクがあるのです。

時効の援用について詳しくは、以下のページもご覧ください。

時効の援用について詳しく見る

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債権回収会社から督促状が届いたら、絶対に無視や放置をせず、内容を確認したうえで適切に対応ましょう。

場合によっては、債権回収会社と支払方法について交渉をしなければなりません。
しかし、交渉には法的知識や判断が必要です。また、ご自身で交渉を行うことは時間的・精神的にも大きな負担となってしまいます。

そのため、ご自身で対応するのが不安な場合は、弁護士に相談するのがおすすめです。
弁護士に依頼すれば、債権回収会社への対応を任せることができます。借金が消滅時効を迎えている場合も、適切に判断し対応してもらえるため安心です。

アディーレ法律事務所では、借金問題に関するご相談を何度でも無料で承っております。
「債権回収会社から督促状が届いたけど、ほかにも借金があって返済できない」とお悩みなら、まずは一度ご相談ください。あなたの状況にあわせて、最適な解決方法をご提案いたします。

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このページの監修弁護士

弁護士 谷崎 翔 アディーレ法律事務所

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2010年弁護士登録。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。

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