特定調停手続の流れ

申立書類の作成・裁判所との連絡・裁判所への出頭等のすべての手続を本人が行う必要があります。

1 申立書類の作成(本人)

特定調停申立書・関係権利者一覧表・財産の状況を示す明細書等の必要書類を作成します。

2 特定調停の申立(本人)

原則として相手方である債権者の所在地を管轄する簡易裁判所に申立をします。

3 事件受付票の交付・調査期日の指定(裁判所・本人)

裁判所から事件受付票が交付され、調査期日が指定されます。

4 調停委員の選任(裁判所)

裁判所が調停委員名簿に基づいて、調停委員を選任します。特定調停では、調停主任裁判官と原則として2名の調停委員(非常勤の民間人)から構成される調停委員会が申立人の事件を担当することになります。

5 調査期日(裁判所・本人)

申立から約1ヵ月後に、調停委員と本人による調査期日(申立人の事情聴取日)が設定されます。この調査期日は、特定調停申立後、すみやかに申立人に葉書等で通知されます。債権者は出頭しません。

調査期日では、調停委員から申立書の内容、債務状況の確認、支払原資の有無、援助の有無、今後の生活の見込み等について質問され、これらの事情を踏まえて相談し、返済計画案を作成してゆきます。申立人は、調停委員が能率的かつ容易に、申立人の状況を把握し返済計画を立てられるよう、できるだけ資料の整理・作成をしておく必要があるでしょう。借金額に比べてあまりに支払原資が少なく、到底返済の見込みがないケース等では、取下げや調停をしない措置で事件が終了することもあります。

6 第1回調停期日(裁判所・債権者)

調査期日の約1ヵ月後に、調停委員と各債権者による第1回調停期日が設定されます。第1回調停期日では、調査期日で作成した返済計画案をもとに、各債権者との間で個別に返済計画が調整されます。

この期日には、当事者である申立人も当然出頭していますが、債権者によっては、出頭はできないが17条決定を願いたい旨の上申書を提出している場合が少なからずあるようです。その場合、調停委員は期日に電話で債権者と交渉し、現在の借金額・返済方法・過怠約款等を詰める作業を行い、申立人にもその内容を確認し、それらを調停委員会として確認した上で、調停主任裁判官が17条決定を作成することになります。債権者が裁判所に出頭している場合には、調停委員がその意見を聞き、協議を行います。協議が整えば、調停成立ということになります。

※17条決定とは?
調停というのは、本来当事者双方の互譲による合意によって紛争を解決するものですが、裁判所が、当事者双方の公平を考慮し、一切の事情を見て、職権で解決のために必要な決定をすることができる(民事調停法17条)とされています。17条決定というのは、この民事調停法17条に基づく裁判所の決定(判断)で、当事者から異議の申立がなければ、裁判所の和解(確定した判決)と同じ効力をもつものですので、その紛争が最終的に解決したことになります。

7 調停調書の作成/調停に代わる決定(裁判所)

債権者の同意が得られた場合

調停期日において、各債権者が返済計画に同意をした場合には、最終的な返済計画が記載された調停調書が作成されます。

債権者の同意が得られなかった場合

調停期日において、返済計画について各債権者の同意が得られなかった場合には、調停委員会が事件の解決のために適当な内容の調停条項を定めた決定が出されます(17条決定)。実務上の運用では、概ね相当として17条決定がなされていますが、裁判所によっては、債権者から異議がでることが明らかな場合には17条決定をしないで調停が終了することもあります。

8 調停調書/調停に代わる決定に基づく返済

調停調書・調停に代わる決定で定められた返済計画に基づいて各債権者に対して返済していくことになります。

9 調停に代わる決定

17条決定 に対して、債権者から異議が出された場合

債権者が、調停委員会から出された調停に代わる決定に定められた返済計画に同意しない場合には、異議を出すことができます。債権者から異議が出された場合には、特定調停は成立せず、借金の減額等の効果は一切発生しないため、特定調停以外の債務整理手続(自己破産・任意整理・民事再生)を検討する必要があります。

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このページの監修弁護士

弁護士 谷崎 翔 アディーレ法律事務所

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2010年弁護士登録。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。

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